写真で日々綴る、不連続な手紙
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by using PENTAX K100D, Carl Zeiss Jena Pancolar 50mm
直島、つつじ荘近くで。
このとき、肉体的な疲れはピーク。
写真を撮ることなんてどうでもよかったし、
子供は果汁が少ししか入っていないようなジュースばかり飲んでいた。
美術館で、薄い色のジュースを子供のために買っておいたのだが、
開けてみたら炭酸飲料だった。
そして、フィルムカメラのフィルムが空回りをしていて、
実は36枚まったく撮れてなかったことも判明したばかりで、
半泣きの道中。
よく見ると、9月に買ったばかりの靴の靴底がはがれかかっている。
そんな馬鹿な、と叫びたくなった、夕方の序の口。
by using PENTAX K100D, Carl Zeiss Jena Pancolar
まるで長い夏に迷い込んでしまったようだ。
窓の向こうには、濃い青色をした空が広がっている。
暑くなるので、夏になってからはレースのカーテンを閉めたきりだ。
なのに、昼前にはどうしても青色が滲みこんできてしまう。
外は、青色の洪水だろうか。
もし、そうなら…
ところで、私の祖父が亡くなる直前に、ある場所の夢を見ていたそうだ。
どうしてそんな状態の人間の夢のことなどを、私が知っているかというと、
夢うつつとなった祖父が、ベッドで寝言を言い続けていたのを聞いていたのだ。
青黒いほどの空。
秋だというのに、最高気温33℃。
太陽の下で何かをしようとすると、頬が焼け付く。
それでも、真夏よりは涼しい。
by using PENTAX K100D, Carl Zeiss Jena Pancolar 50mm
光がまばゆく、影が色濃い。
午後2時過ぎ、あの光具合ならPOLGAも使えたかもなぁ、と思う。
後悔先に立たず。
影はより濃くなっていた。
本当は、雨に濡れた萩の写真を用意してあったのに、
連日の秋晴れでどうも出しづらく、
初めて「今日撮った写真」というものを貼る。
by using PENTAX K100D, Carl Zeiss Jena Pancolar
彼女は、おれの同期と会ってたんだよ。
おれは嘘だけはいやなんだよ。
彼女はもうしない って言ってるけど、どうしたら信用できるんだろう。
どうしたら、他の男と会わなくなるんだろうな。
わたしの大事な男友達が泣きついてきたことがあった。
わたしは電話の向こうの、苦しそうだけれども、明らかな他人事に少し呆れながら、
結婚でもすれば? と言った。
某年9月
わたしは彼と待ち合わせて、新宿の副都心へ出向いた。
仕事の定まらない二人に、このようなところに用事があるはずもなく、
ただただ、ブラブラと歩くために訪れたのだ。
わたしはカメラを持っていって、高層ビルを何枚も撮った。
彼は、ひたすら上を向いて歩いていた。
私は、安田火災ビルの曲線が好きだ と彼に言った。
夜、上空に、小さな赤い灯が点り、ぽつ、ぽつ、と点滅し始める。
彼は、このリズムが好きだ と私に言った。
これが、湯釜と呼ばれる、白根山の火口湖。
水の色が、驚くほどみずいろをしている。
まるで、絵の具を溶いたような、おかしな水色。
ここは、常時、24時間の監視体制にある。
以前、ここに観光客を入れているときに、震度4の地震があったそうだ。
そのため、この水色の水から、70mの水柱が立った。
当時、そこに居合わせた人の中に、ここにカメラを向けていた人はいなかったそうだ。
白根山の山頂付近にて。
雲というものは近くで見ると、ひんやりとした霧なんだ。
湖のあたりから山頂を見上げると、今までの緑豊かさとは打って変わった、殺風景な山肌。
ざらざらとして、岩ばかりで、めぼしい木は倒れている。
このあたりは、硫化水素も噴出していて、
生き物としてここに長くいることに、ちょっと危機感を覚えてしまう。
上(山頂)に ちょん、と腰掛けているのは、人です。
使用カメラ;PENTAX K100D
たぶん、このあたりでしか見られない こまくさ。
ロープウェーで山頂付近へ。
さきほどまでとは、打って変わった曇天。
雲がもうもうと下から這い上がってくる。
ちびに、 雲に飲み込まれそうだね と言ったら、
意味が正確に伝わったのかは定かではないが、「飲み込まれる」というのがとても恐く感じたようで、
とてもおびえた顔になった。
これが、私の相棒。
よく見ると傷が多い。
しかも、壊れやすい。
この間は、前のカバーが知らぬ間に全開していた。
防水などの機能が発生する以前に生まれた時計だから、
水仕事もだめだし、雨の日には外にして出てはいけない。
私もいい加減、他のものに鞍替えしたいと思い、いろいろと探しているのだが、
どうしても身体にフィットするものに出会わない。
そして、この甘いカーブに宿るツヤを見るたび、やはりこれを身につけたいと、強く思う。
骨董屋からは、あまり毎日身につけると、寿命がきてしまう、と忠告された。
どうにも動かなくなるまでに、他のものに出会えるといいのだが、
こればかりはご縁で、仕方がないようにも思える。
今日も、相棒に耳を近づけるとカチカチとまじめな音が聴こえ、私は安堵する。
生きていてくれて、ありがとう。
使用カメラ;K100D
個人的に楽しまれる以外に、お使いになりたいものがありましたら、contactなどから一言お願いいたします。