写真で日々綴る、不連続な手紙
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PENTAX K100D, SIGMA 17-70mm DC MACRO
それぞれの人に、それぞれの思い。
ひとつひとつが小さな棘となって、世界を包み込んでいる。
世界は棘だらけだ、と感じてしまうのは、
贅沢なメインダイニングでの、独りで食べるヌーベルシノワーズの夕食と、
周囲からの静かな注目にうんざりしているからだろう。
私は箸を置き、地上4階に生い茂る庭木を眺めていた。
地理的には、庭の向こう側には美しい夜景が広がっているような気もするのだが、
ここから見えるのは、レストランのライトが照らす、グレーの庭(それもひどく狭く見える)だけだった。
デザートもそこそこに、
できるだけ背筋を伸ばして立ち上がり、
細心の注意を払って出口へと歩いた。
店に飽和していたざわめきが、私の周りだけ一瞬空疎になるのを感じながら。
ヒールが毛足の長いカーペットにめりこんでいる。
さっさと部屋に戻って、この気取った靴を脱ぎたい。
そして、だだっ広い静かな部屋で、ただひとり煙草を吸うの。
↑フィクションです。
長らく続いた薔薇の写真ですが、
このへんでお開きにしようかと思います。
ご覧くださった皆様、ありがとうございます!
PENTAX K100D, SIGMA 17-70mm DC MACRO
6月某日
雨がつづく。
まぶたがくっつきそうになってきたので、早々に横になる。
昼まえの静かな家に、雨音が響く。
何もしなくてもいい日は、好きじゃない。
手を動かしているのが一番安心だと思うのだが、
こんな日は手が動かない。
急なチャイムで飛び起きる。
髪が乱れているかも見ずに、玄関へ出て、少しだけドアを開ける。
いちいちインターホンで相手を確認するのがめんどうなのだ。
2センチほどの隙間から覗くと、濡れた玄関先に青年が立っていた。
青年は、折り畳み傘を丁寧にたたんでいる最中だった。
手際よく畳まれていく傘の折り目は、まるでおろしたての傘のようにピンとまっすぐだった。
その骨ばった手は、どこかで知っている手。
なんとなく、そう感じた。
わたしは思わずその顔を見ようと、目線を上げるが、
その瞬間、畳みかけの傘が、彼の顔を隠す。
仕方がないので、目線を落とし、彼の手つきだけを見ている。
この青年が、本当にあの彼だとしたら。
どうして彼はうちまでやってきたのだろう。
西の方へ引っ越したという噂だけはきいていたけれど。
もう私のことなど忘れてしまったと思うのだけれど。
PENTAX K100D, SIGMA 17-70mm DC MACRO
今日は、散歩コースを変えてみました。
ここは、すばらしい薔薇園のあるお宅の前。
ご主人が、ちびに薔薇を切ってくださいました。
きれいでしょう。
それは、突然現れた。
この、砂漠地帯に。
その建物は、入り口がひとつきり。
散歩しているときに見てみたら、入り口が開いていた。
思い切って入ってみたら、静かにドアがスライドしたので驚いた。
薄暗くてよくわからないが、どうもそれはエレベーターらしい。
小さなライトが少し遅れて点灯すると、安っぽいオレンジ色をしたカーペットや壁紙が見え、
真平らな電子音でビートルズが流れだした。
これ、北欧柄じゃん。
なんとなく安心して、上向きの矢印を押すと、ひゅうっと音がした。
おかしな浮遊感だ。
まっすぐ上がっていっているようで、ときどき曲がりくねった廊下を無理矢理通っていく感じがする。
チンという乾いた音と共に、頂上へ出た。
そこは周囲をガラス張りにした、日当たりのよいコロニーだった。
展望台のような感じだ。
窓へ寄っていって、景色を見ると、隣にも似たような緑色をしたコロニーが、…その隣にも、その隣にも。
本当のところ、コロニー以外には何もなかった。
このあたりは、やはり砂漠だった。
一通り眺めて満足すると、のどが渇いてきた。
そこで、自動販売機を探すことにした。
コロニーの中は、小さな部屋が規則正しく並んでおり、そこに見たことのない人々が忙しそうに出入りしていた。
そして、真平らなビートルズが流れていた。
緑色のエイリアンたちも、ビートルズが好きなんだろうか。
KODAK Ultra Max 400
毎年、桜が咲くと、とりあえず撮ってしまう。
とりあえず撮って、フィルムを無駄に使うことが多いのだが、
今年は。
仕上がりを見て、ちょっとほくそ笑んでしまったのだ。
今までの桜写真の中で、一番私の好みに撮れちゃった。
撮影技術とかじゃないんだけど、
なぜだかうまくいっちゃった。
今、桜にはぎっしり緑が生い茂ってますが、
もう一度だけお花見してください。
スライドショウ 『 SaKuRa2008 』 つくりました。
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今ね、
蜜柑の花がたくさん咲いているの!
それ、すごくいい匂いなの!
朝、雨戸を開けたら匂ってきたんだ。
一嗅ぎで、幸せになっちゃうような、すごくいい匂いなんだ。
とくにね、早朝の冷たい湿気と一緒だと、本当にいいんだ。
個人的に楽しまれる以外に、お使いになりたいものがありましたら、contactなどから一言お願いいたします。